えなみ教授研究室

今まで投稿したマンガとか、これから投稿していくマンガとかをちゃんとジャンル分けして乗っけていきます。

エヴァンゲリオンを見てきてない

私はエヴァンゲリオンを見たことがない。
鬼滅の刃も読んでいない。
進撃の巨人も読んでいない。


別に「俺は流行りものとかキョーミねえから」みたいな斜め45°のちょうどいいスキージャンプ台になりそうな思考回路をしたサブカルクソ野郎という訳ではないのだ。
正直に言うと実はちょっとサブカルクソ野郎だし、エヴァも破だけ見た。
でもそれは些末な問題なのでここでは追及しないものとする。

私が流行りの物語に触れないことには理由がある。


私は呪われているのだ。


まだ電話機に手を伸ばすのは早い。その1と9に置かれた指を今すぐ離しなさい。
かと言って知り合いの霊能力者を紹介しようとするのもやめなさい。そんな君に今なら持ってるだけで幸せになる四十五億年前から地球のどこかには成分のして存在していたであろうこの石が198000円。


とにかく私は呪われているのだ。その私を呪っている何かによって、私は悉く流行というものに乗り遅れ、皆が下車を始めた時遠くからまだそれを眺めている。
そしてその呪いとは、私に限った話ではないのだ。いつ、いかなる時も、あなたの喉元を狙って牙を打ち鳴らしている。そんなあなたに持ってるだけで幸せになる石198000円。


それは、あなたの隣人であるかもしれない。
それは、あなたの家族であるかもしれない。
それは、あなたそのものであるかもしれない。
それの名はーーーー


ネタバレ。


さあ119を押すがいいさ。ただし自分が被害にあったことも、加害したこともない者のみ救急車を呼びなさい。きっと救急車を呼べるのはキリストだけでしょう。あっ、ダメだあいつは預言者だからネタバレ厨の権化だ。


ともかくそうなのだ。私が人より少し波に乗るのが遅いばかりに、聞いてもいないのにどこからともなくライナーが鎧の巨人の正体だったり、煉獄さんは負けてなんかなかったり、シンジくんはアスカでオナニーしてたりするのだ。最後のは私もしている。


大体現代人はネタバレに対する罪悪感と危機感に甘過ぎるのだ。平和ボケなのだ。バカボンのパパなのだ。
もはや私の親友と呼んでいいであろう安藤氏について、特にそれは気をつけねばならない。彼は目をつけた作品の情報を遮断するために人間関係そのものを閉ざす。インターネットも切断する。その様は、さながら天の岩戸に閉じこもった天照大神を彷彿とさせる。させない。
そんな彼が情報遮断中、唯一コミュニケーションを取るのが私の役割であった。前述の理由で流行りものに疎い私ならば、一緒にいたところでその話題が出ることはないだろうと。

そう思っていた。

思ってしまっていたのだ。

私こそが姿の見えぬ暗殺者だと知らずに。
その時、「君の名は」が流行っていた。そして安藤さんは映画(特にアニメ)が好きなので、公開から一ヶ月近くたった今、当然既に観に行っているものだと私は思っていたのだ。
当の私はといえば当たり前のように同級生の友人にネタバレをされてオチも何もかも知っていた。だからつい言ってしまったのだ。
「「君の名は」って俺観てないですけど、話だけ聞くとオーロラの彼方へにそっくりっスよね。」
時が
止まった。
ここで起こった不運は3つ。
ひとつ、仕事が忙しく、安藤さんはまだ君の名はを見れていなかったこと。
ふたつ、無名ではない、が、さして有名でもないオーロラの彼方へを安藤さんが鑑賞済みであったこと。
みっつ。安藤さんの察しが、思った以上に良かったこと。
こと3つの不運が重なり合った結果、彼の脳内はパワフルパワフルパワフル全開なあみさえおバカな一日元気だぞ。
過呼吸を起こして倒れた。
人は、情報で殺せる。
私は親友を失った哀しみに、ぽっかりと空いた穴を埋めるべく歩を進めた。
その時の穴を埋めたこの石が今なら198000円。
というわけでこの国にネタバレ禁止法を施行しよう。死人が出てるんですよ、こっちは。
もちろん口で「あいつがネタバレした!」という証言だけでは証拠になりません。録画、録音、魚拓、Photoshop、なんにせよ確固たる証拠のもとにネタバレ罪を受けたものは今後一生全ての物語をオチから読まなくてはならない。これは死刑の次に思い罰です。恐ろしい。
……今気付いたんだけど、私この罰受けてる?

 

 

4コマの更新は今週します