絵の練習の話
臥薪嘗胆という言葉がある。
「臥」は臥して寝ること。「薪」はたきぎの王グウィン。「嘗」はなめること。「胆」は苦い肝のことを指す。なんか今パリィで殺せるラスボス通らなかった?
意味は「将来の成功を期して苦労に耐えること」。
語感といい、意味といい実にかっこいい言葉である。
以上。
というのは冗談で臥薪嘗胆には程遠いまでも、絵がうまくなるためにどういった練習をしてきたのかちょっくらおじさんの昔話に付き合ってくれよ。へへっ。
そこの「お前そもそも絵うまくないじゃないか」といった少年。君は「王様は裸だ!」と言える真の勇気の持ち主だ。後で処刑台に上がりなさい。
とはいえ私も特別な練習法を持っているわけではなくてですね。私が右腕を食った神絵師の人達が言うように、
・同じ構図ばかり描かない(ちょうい左向きの胸から上とか)
・人体の構造を把握する(解剖図など)
などなど。
全部やってません。
めんどくさいから。
でもただひとつ、ただひとつだけ私にも他の人と比べて「やってんな!こいつやってんな!」と思うことがあります。
ここ十年?十五年くらい?
絵を描かなかった日は一度たりともありません。
漫画のセリフを考えなかった日は一度たりともありません。
どんな落書きでもいいのです。模写でもいいし、なんならトレスでも良い。
気が乗るなら何時間もガッツリ描いていいし、調子が悪いなら十秒でいい。
でも毎日描く。
そうすると技術の向上はもちろんのこと、なにより自分に誇りが持てる。
世の中にわたしより絵が上手い人は五億人くらいいます。でも、その中で私が一番好きな絵は、私が描いた絵なのです。
「王様は裸だ!」
私は今から処刑台に向かいます。